不安は多くの場合、しない方が良いことをするときの根本的な理由です。その意味で不安こそが人間を不幸にする最大の原因だと言えます。そして、人間の感じる不安の多くは先患いです。
先患いは、理論的に考えればその無効性が理解できますから、あとは先患いをしない工夫をすればよいだけになります。ここでも、いつも言う、今できないことや今分からないことは考えない、というルールが必要なのです。
もちろん不安には先患いでないものもあります。今何かをする必要があるが、それをすることに不安を感じる、という場合です。この種の不安にはどう対応すればよいのでしょうか?
不安は必ず、何かを失う恐れから生じます。ですから失うことに対する恐れを無くすことが理想となります。しかしそれは真理を体現してから初めて可能になることですから、今現在の解決には間に合いません。
従って、失うことの恐れそのものを無くすことが難しいなら、失うことが無い、と思えればよいことになります。そのように思える言動の仕方や考え方をするというわけです。
それを実現するためには、何を失うことを恐れているのか、それを明確にすることが第一歩となります。皆さんが不安を抱くとき殆どの場合、何を失うことになるのかを考えていません。それを考えてみましょう。それは絶対に失うなってはならないものなのか、失ったらどうなるのか、それを突き詰めて考えるのです。
そして考えた結果に基づいて言動するかしないかを決めるのです。もし実行しなければならない、またはどうしても実行したい、と思うのなら、その言動の仕方を工夫することで、失う可能性を減少できるか考えます。
このようにして、言動の目的を考え、その目的を達成するために失うかもしれないものを賭ける必要が本当にあるのか、それを考えることで言動するかしないか、またはその仕方を工夫することができるのです。
どのような困難な状況でも、必ず道はあるものです。世界が無限である以上、常に道がある、ということは真実なのです。大事なことは、その道を見出すために、今できないこと今分からないことは考えない、逆に今できること今分かることは考える、というルールを守って、あとは考えた結果に基づいて実行するだけです。