小さな満足に止まらない

瞑想をしていると、心が静かになったりリラックスすることができるようになります。その結果として自分が強くなり、ストレスが減り、また日々の問題が解決しやすくなったりするのです。そうすると、それに満足して、日々同じ気持ちで瞑想を続けるだけになりがちです。もっとひどい場合は、もう瞑想をする必要が無いと思ってしまう場合もあります。

しかし瞑想によるそのような効果は、いわば単に自分の中のマイナスが減ったということに過ぎません。瞑想の本来の目的は、マイナスを減らすことよりもプラスを得て人生を豊かにすることにあるのです。

それは、例えればこういうことです。誰でも生まれたときには、プラスもマイナスも無い状態で人生を始めます。勿論持って生まれた能力や弱点などはあるでしょうが、少なくても自分で作り出すプラスやマイナスはゼロの状態なわけです。しかし生きていくうちに、いろいろな望ましくない出来事が生じ、その影響がマイナスとして自分の内側に溜まっていくことによって、その後の人生にマイナスの影響を及ぼして問題を作り出すことになるのです。

瞑想によって楽になるというのは、その溜まっていたマイナスが減ったということですから、マイナスの状態からゼロの状態に近づいたということを意味するわけです。

しかし生まれてきた本来の目的は、何らかの意味で生まれる前よりもプラスを増やすことにあるのです。もしそうではなく、ゼロのままでよいのなら、生まれたときはゼロなのですから、わざわざ人生を生きる意味がありません。

ですから、瞑想によって自分の内にあるマイナスを減らすことに成功したら、そこに止まらずにさらにプラスを得ようとすることが、本来の生きる意味を満たすことになるのです。苦しみが無くなって楽になってからこそが、本来の瞑想の目的に向かってスタートすることになるということです。

瞑想によって得ることのできるプラスは無限です。瞑想は究極的には今のあなたの心が想像もできない喜びと豊かさを与えてくれます。その幸せを求めることが瞑想の醍醐味です。今の自分が求める小さな喜びや豊かさに満足することなく、人間として得られる最高最大の喜びと豊かさを求めて瞑想の道を歩み続けてください。

あなたが水を求めているとき、大きな湖を目の前にして、コップ1杯の水を取るか、バケツ1杯の水を取るか、それとも、湖の中に入る勇気を出すのか、ということなのです。