辛いときにはそれを避けたいものです。調子が悪い、弱っている、苦しい、という状態のときには、その時はなるべく楽になるようにした方が良いに決まっています。
しかし将来を考えれば、必ずしもそうではありません。辛さを体験しそこから学ぶことで人間は強くなります。ですから特に子どもに対しては簡単に助力を与えてはいけません。いつも助けられていたら、その子は強くなることができません。自分自身についても同じことが言えます。辛さから逃げているばかりでは、いつまでたっても辛さへの耐性ができず弱い人間のままです。
失敗や辛さや苦しみを通り抜けることで初めて人間としての強さを得ることができるのです。人間の生きる喜びは、強さと優しさによってしか得られないことを理解すれば、目先の辛さを回避することよりも、成長することの方に価値があることは明らかです。
しかし、だからといって、限界を超えるマイナスを作ってはすべてが台無しになってしまいます。限界の判断を知ることが非常に重要になるわけです。なるべく限界に近いところまで辛さを甘受してそこから学び、同じ辛さを将来味合わないで済むように成長することに努めます。
そして同時に、自分または相手の限界を判断して、限界を超えるような辛さやマイナスからは離れることが必要なのです。頑張りすぎれば自分の限度を超えたときに、取り返しのつかないような大きなマイナスが生まれます。
その判断を正しくすることが重要なのですが、その際に最も大事なのは自我から自由になっていることです。自我が強ければ、それだけ不安が強くなり、不安が強ければ正しい判断は難しくなります。
そしてさらに、どのような判断でも、判断するときに大事なのは、その判断の結果を受け入れる覚悟をつけておくことです。逆に言えば、その覚悟がつかないような判断や選択はしない方が良い、ということになります。