マイナス感情への対処

マイナス感情は意識的に作られるものではありません。
気づいたときには発生していますから、
感情そのものを意図的に作ったり消したりはできないのです。

それは当たり前のことなのですが、つい忘れてしまいます。
忘れるので、感情そのものをどうにかしようと思います。
マイナス感情が出ること自体を悪いことだと考えたり、
出た感情を否定したり消そうとしたりするわけです。

そういった努力は無意味であるだけでなく、
抑圧を生み出すという意味ではしない方が良い努力です。

だからといってマイナス感情に基づいた言動をして良いということにはなりません。
そういった言動は一時的に気持ちを満たすことがあっても、
多くの場合にマイナスの結果を生み出すからです。

ここで明確にしておくべきことは、
マイナス感情そのものをどうにかしようとしないで、
マイナス感情に基づく言動をうまく処理することなのです。
その二つを区別して考えることが大事です。
そうすれば、抑圧を生じることなくマイナス感情に対応することができます。

どのように言動を処理すればよいでしょうか?
その基本は時間をかけることです。
マイナス感情からすぐに言動を起こさないことです。
時間をかけて、したい言動をしたときの得失を考えたうえで決めればよいのです。
時間をかけるためには、気分転換をしたり、
言動について(マイナス感情についてではなく)、
いろいろと考えたりすればよいのです。

このように、感情そのものについては、
否定も肯定もせずに感じるままにしておく、
ただし、感じるだけにしてそれに基づいた言動を始めない、ということです。

この対処については以下の反論があるかもしれません。
いつも自分の感情を相手に伝えることが恐ろしくて何も言えない、
後になってから、「あのときに言えばよかった」と思う、という問題です。

しかし、これは上記で言った「すぐに言動として表さない方がよい」とは違います。
一方は表現することを怖れていることが理由であり、
一方は表現することの得失を考える時間を確保することが理由だからです。

怖れから表現しないことは良いことではありません。
しかしそういう人でも、形としては同じように、すぐに表現しなくても、
上記の理由意識を明確にもって対処すれば、
逆に表現した方が良いときには後から表現できるようになるでしょう。

本題に戻ります。
感じるままにして言動を始めなければ、以下のことが分かります。
その感情が強まっていきやがて弱まっていくというプロセスです。
弱い感情の場合はしばらくの間、強い感情なら長い時間がかかるでしょう。

しかしどのように強い感情でも例外なく、必ずこのプロセスが存在します。
このプロセスを最後まで見届けることができれば、
感情に振り回された言動はしないで済むことになります。

この場合注意することが一つあります。
多くの場合感情が生まれるとその感情に基づいて考えが生まれます。
しかし、考えることは感じることと違って止めることができます。
止めてもすぐにまた同じことを考えてしまうかもしれませんが、
少なくても瞬間的にでもその考えや想いから離れることができます。

つまり感情と違って考えや想いはある程度コントロールすることができるのです。
特にマイナス感情が生まれたときには、考えを止めることが大事です。
マイナス感情に基づいて考え始めるとその影響でマイナス感情が強まるからです。

上記で述べたような対処をマイナス感情に対してすれば、
現象的に大きな問題は回避することができます。
人間として成長すればマイナス感情そのものも少なくなるでしょうが、
そういう難しく時間のかかることに基づいて今の自分を批判するのではなく、
今すぐの対処として、上記のことを心掛けてください。