瞑想すると無欲になりますか、という質問を受けました。世間では無欲になることは良いことと思われているようです。しかし、本当に無欲というものを目指すことが幸せへの道なのでしょうか?
確かに瞑想すると心が自由になり、とらわれが減少していくことは事実です。その結果として、多くの、それまで持っていた欲望が無くなるということもあるでしょう。
しかし同時に、心が自由になった結果として、それまで興味の無かったことに興味が湧いたり、縁のなかった物事や人と関わりを持つようになったりもします。そのような新たな世界との関わりの中では新たな興味や欲望が生まれるのが自然です。ですから、瞑想をしても欲望が無くなることはないのです。
心が自由になったために、自分が持つ欲望の内容は変化するかもしれませんが、欲望そのものが無くなるわけではありません。それまでの欲望は、主に他者との関係の中で作られたものです。「他の人が~だから」「世間(常識)では~」「~であるべきだ」といった想いに基づいた欲望なのです。
一方新たな欲望は、他者に関係なく、自分の内側から湧き出るもので、それは、自分が生きていることに対する肯定と意味を知ったことによって自然に生まれる欲望です。ですから、そのような欲望の追及は、結果にとらわれることなく、追及そのものを楽しむことができるのです。