人間の苦しみや迷いの多くは、相反する思いが心の中に同時に存在することによって生まれます。私のところに以下のような苦しみを抱える人がやってきました。「夫が毎日にように暴力をふるうのでいつか自分は殺されてしまうだろう。けれども離婚したら食べていけないので死んでしまう。どちらを選んでも自分には救いが無い」。
この悩みは、その人の心の中に「離婚したい」と「離婚できない」という相反する思いがあることによって起きているわけです。このような心の状態が生まれるときには、必ず何らかの思い込みがあります。
夫の暴力は事実ですから思い込みではありません。しかし「離婚できない」は思い込みなのです。「離婚できない」という思いの根拠は「食べていけない」ですが、この「食べていけない」というのは事実ではなく、未だ実際に経験していない時点での判断に過ぎません。
判断が正しいか間違っているかは、行動した後でしか分かりません。ですからその人は、少なくても自分が努力し行動することのできる道を選ぶべきなのです。しかしその道を選べないのは、できないという判断を疑うことなく信じ込んでいるからです。つまり思い込みがあるからなのです。
あなたも大きな迷いや出口の無い苦しみがあると感じたときには、そこにどのような思い込みがあるかを考えてください。自分の思い込みが何であるかに気付けば、相反する思いは無くなり、苦しみが減少するだけでなく、問題解決に向かって何かをすることができるはずです。