何か不愉快なことや不満なことがあれば心がマイナス感情を生むのは仕方ないことです。精神的な成長を求める人の多くが、マイナス感情を持たないことを願い、そのために努力をします。しかしマイナス感情は自己防衛のためにある意味必要であり、人間として自然な心の反応なのです。ですから、そうならないようにするということは不自然な心の在り方を求めることであり、幾ら努力しても手に入れることはできないのです。せいぜい目をそらしたり意識しないようにすることができるだけです。不愉快なことや不満にたいするマイナス感情は人間として自然に作られるもので、それを作らないような心を持つことは不可能なのです。
不可能なものを求めれば結果を得られないので、ストレスが高まり自信を失いさらに自分がしている努力に対する不信が生まれます。その結果、マイナス感情を持たないことを求めることによって、マイナス感情を作り出すことになってしまうのです。ですからそのような努力は間違っていると言わざるを得ません。
それではどうすればよいのでしょうか?最も良いのは、マイナス感情を生み出すような出来事を予め避けることですが、その考えに片寄ると積極性を失いマイナス感情を持つことへの不安に縛られて自由な発想や行動ができなくなります。ですからマイナス感情が生み出されることを心配するよりも、それが生み出された後に、うまく対処することが重要になるのです。
対処の第一は当然ながら、マイナス感情の原因になった問題を解決することです。それができれば自然にマイナス感情は消失します。しかし問題を解決できない場合はどうすれば良いでしょうか?その場合はマイナス感情を無くそうとするのではなく、それから離れることに努力するのです。マイナス感情を否定し無くそうとすると必ず抑圧が生じます。抑圧された感情はいつか危険な形で爆発するものです。ですから抑圧することなく離れることが必要なのです。
そのためには、感情の動きを見つめてそれが消えるのを見届けることです。消えると言っても無くなるのではありません。感情、特にマイナス感情はそう簡単には無くなりません。しかしどのように強いマイナス感情でも、すべての存在がそうであるように、生み出され成長し衰えるというサイクルを繰り返します。どんな人でもどんなマイナス感情でも1日中それだけで心が占められるということはあり得ません。ですからマイナス感情というエネルギーの強さの変化を見届けるのです。そうすることによってそれから離れることができます。同じ感情が何度も出てくることはあるでしょうが、その変化を見つめることを繰り返すことで、遅から早かれ必ず離れることができます。
その際に、純粋に感情だけが出てくることもありますが、多くの場合に想いも一緒に出てくるものです。というよりも想いによって感情が強められることが多いのです。その場合は、想いと感情を分けて考える必要があります。想いは瞑想でしているように意識的に止めることをし、感情は見つめることをします。そうすることによって、マイナス感情から自由になることができるのです。