自分を観ることの大切さ

瞑想では自分を観ることが非常に大切です。それは、瞑想の根本目的が幸せになる(真理を悟る)ことであり、そのためにはどうしても自分を知ることが必要になるからです。視線を向けなければ見ることができないのと同じく、意識を自分に向けなければ自分を知り理解することは不可能です。

なぜ幸せになるために、または真理を悟るために、自分を知ることが大事なのでしょうか?それは、その人の世界のすべてを作っている源が、結局はその人自身だからです。その意味で、2千年以上前のギリシャで言われた「汝自身を知れ」という言葉は現在でも真理なのです。

自分を知るために自分を観るわけですが、なぜ自分について考える、とは言わないのでしょうか?その理由は、自分の考えは自分自身ではないからです。そのために、自分の考えやまたは考え方を変えることによっては自分が変化することにならないからです。

従って、「自分」ではないところの「自分の考え」や「想い」を通すことなく、直接自分を知ることが必要になるのです。そのために自分を観るのです。観るは見るとは違います。観察するということです。判断や評価をすることなく、あるがままをあるがままに認識するということです。それが観察するということです。

日常生活では人間は生きていくために、常に意識を外に向けています。何事も衝突を避け上手く生きていくためには、常に意識を外に向けている必要があります。

瞑想の第一歩は、そのように働いている意識を180度転換して、逆に自分自身に向けることから始まります。外の世界に対して何をするかではなく、自分が今この瞬間にどのように在るか、それを意識することがスタートになるわけです。ですから瞑想を始めるということは、自分を知る旅に出たということでもあるのです。